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良性発作性頭位めまい症(BPPV)-3:なぜ耳石が三半規管の中にあるのか

  • 執筆者の写真: 院長
    院長
  • 9月18日
  • 読了時間: 2分

更新日:9月19日

8月22日のブログ「良性発作性頭位めまい症(BPPV)-2:眼振の生じるメカニズム」で予告した、「なぜ耳石が三半規管の中にあるのか」について説明します。

 

図の左部分をご覧ください。頭の位置が上にある(アップライトの)人の胸から上と、右耳の内耳が描かれています。図中の"OTOCONIA"が耳石です。これは本来、"UTRICLE"(卵形嚢)や"SACCULE"(球形嚢)内の"DARK CELLS"(暗細胞)領域(平衡斑)にあるのもです。平衡班は重力などの直線加速度のセンサーです。2つの平衡班のある場所が前庭です。

 

耳石は頭部外傷による衝撃や、突発性難聴などの内耳疾患、あるいは加齢等により、平衡斑から脱落することが知られています。左図は卵形嚢内に脱落した耳石を示しています。



図の中央部分では横になった人と、後半規管の中に移動(落下、沈殿)した耳石(DISPLACED OTOCONIA)が描かれています。人は横になると、耳石が三半規管の中に移動するのです。つまり「人は横になるから」が、「なぜ耳石が三半規管の中にあるのか」の回答なのです。

 

三半規管の中で最も後ろ側にある後半規管(POSTERIOR SEMI-CIRCULAR CANAL)は、横になると内耳の中で一番低い位置に来るので、落下・沈殿した耳石が溜まりやすいのです。

 

他の三半規管に耳石が入る可能性もあります。水平半規管(外側半規管)は、右または左向きで寝ると、下になった耳の一番低い位置に来るので、落下・沈殿した耳石が溜まりやすくなります。

 

いっぽう前半規管は、アップライトで一番高い位置にあり「上半規管」とも呼ばれます。強い懸垂頭位を取ったり逆立ちをしたりしない限り、耳石の入る可能性は低いと考えられます。

 

後半規管、外側(水平)半規管、前(上)半規管、どの半規管に耳石が入ってもBPPVは発症しうると考えられますが、バラニー学会の診断基準(2015年)では、後半規管型、水平半規管型のみが典型例として認められました。

 

 


「人は横になるから」がBPPVの原因なら、治療法や予防法も容易に想像できるかと思います。次のブログでは治療・予防の前に、なぜ三半規管に耳石が入るとめまいが生じるのか、について解説したいと思います。

 

最後までお読みいただき誠に有難うございました。

 
 
 

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